【相談;安全な野菜アジアへ売りたい】
有機野菜の卸販売を行っている。食の安全性への関心が高まり、国内での取扱量は前年の3倍に増えた。安心・安全な野菜をアジアにも普及させたい。海外販売の足掛かりをつくるにはどうすればよいか。
相談事業者基本情報
企 業 名 ダイハチマルシェ
業 種 農産物卸・販売業
所 在 地 浦添市
資 本 金 500万円
創 業 2011年
従 業 員 20人
【回答;価値観合うバイヤー鍵】
海外進出の可能性とリスクの見極め
海外進出を目指す上で留意したいのは、現地のバイヤー(市場)が求める価値や価格帯、取扱量、取引条件などが日本とは大きく違うという点。現地の価値観にマッチしなければ販路を広げることは難しく、輸送費コストや利益を含めた価格設定がうまくいかなければ継続的な取引には結びつかない。可能性とリスクの見極めがポイントになる。
その点、中国やアジアでは自国の農産物への安全性に対する信頼が低く、日本の「安心、安全」な農産物への関心は高い。化学肥料や農薬の使用を控えた有機野菜は「日本産」以上の付加価値を持つ。高所得層の市場を開拓できれば、収益性も確保できる。
安全な野菜の流通を目指す
ダイハチマルシェの玉城克明代表は18年間有機農産物の卸販売に携わり、安全な野菜の流通に強い使命感を抱く。農家が作業に専念し生産を拡大できるよう、手間のかかる小分け梱包や日本農林規格(JAS)シールの貼り付け、市場への運搬・納品も引き受けている。日本で禁じられた農薬が販売・使用されている国があると知った玉城代表は、海外での販路開拓に課題と可能性の両面を感じ取った。
物産展への出展
足掛かりに勧めたのは物産展で、現地バイヤーとの商談や視察で市場感覚をつかむこと。消費者ニーズや販売課題、物価、類似品、客層、売り場構成などを実感できる。10月16日-18日シンガポールで開催される日本食品総合見本市「Oishii Japan」に、県が沖縄物産のブースを出展することを伝え、同社の参加が決まった。
国によって商習慣が異なるため、現地とコネクションを持つ国内卸業者との取引を望む企業が多い中、同社は現地バイヤーとの直接取引を目指す。農家が手塩にかけた有機野菜を単なる「日本産」のジャンルで、埋もれさせたくないとの思いがあるからだ。
海外の有機野菜に対する認知度は低く、日本で定着した評価や価値を理解・共有できる現地バイヤーを見つけ、消費者に浸透させていくとこが鍵となる。展示会の成果や課題を踏まえ、販売戦略など継続的にサポートしていきたい。
この記事は2014年10月12日の沖縄タイム(日曜版)『よろず支援拠点 カルテ@沖縄』に掲載された記事からの転載です。
Written by uechi
(沖縄県よろず支援拠点コーディネーター)