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新商品の生産体制と販路開拓の支援事例

相談内容 :新商品の生産体制や販路拡大をどのように進めたらよいか

沖縄県水産課の産地漁協連携ビジネス新商品開発事業を活用して、地元漁協と共同でソデイカを使ったタコスを開発した。良い商品ができたが、昨年度の事業終了でその後のビジネス展開が止まってしまった。生産体制や販路開拓をどのように進めればよいかアドバイスが欲しい。

相談事業者基本情報

・企 業 名    ローヤル
・業   種           飲食・宿泊サービス業
・所 在 地           読谷村
・資 本 金           600万円
・創   業     1967年
・従 業 員           60名

 

答 :地域ぐるみで販路開拓

同社は創業48年の老舗で、アメリカンテイストのレストランローヤル、コンドミニアムのホテルローヤルとして地元では有名である。最近は中日ドラゴンズ春季キャンプの2軍宿泊地として利用されている。レストランのメニューは地元ファンだけでなく、昔からアメリカ人の利用客も多く味には定評がある。中でも、トルティーヤも具も全て自家製のタコスは人気が高い。
読谷村漁協と共同で開発したタコスは、具材に牛肉ではなく地元で獲れるソデイカ(セーイカ)を活用したので、イスラム圏でニーズの高いハラール食品としての市場も存在する。Fish-1グランプリでも高い評価と人気を博した。伝統ある製法と優れた味、地元素材の活用など、商品化できれば売れない理由はない。

しかし大きな課題がふたつある。そのひとつは生産体制。同社はホテル、レストラン事業の他にも、トリーレンタカー、居酒屋読谷ダイニング護佐○、リカーショップ730、残波岬いこいの広場Ti-da33などを展開、多角的な事業展開をしている。少ない人員で新たにタコスの製造部門を立ち上げることは、今は困難である。もうひとつの課題は販路開拓である。以前、アジア最大級の国際食品・飲料展FOODEX JAPANに出店したが、商談の規模があまりに大きすぎて自社では対応不可能であることを痛感した。小さな規模から生産し徐々に販売を拡大して行けるような自社に見合った販路を探せる適切な商談会が必要である。

人材の確保や設備などの課題で自社生産が難しい場合、製造委託という方法がある。幸い地元にはいくつかの食品加工業者がいる。それぞれの生産規模や商品、特徴などを比較する中で、原料を供給することになる漁協との関係や、今後のハラール市場への展開も考慮して水産加工会社を第1候補として推薦した。

また販路開拓に当たっては、地元の商工会と相談して、小規模事業者地域力活用新事業全国展開支援事業などが最適なメニューであることを説明。行政や漁協など地域ぐるみで取り組まれることを薦めた。展示商談会では全国商工会連合会も関与しているインターナショナルギフトショーの中のグルメ&ダイニングスタイルショーが規模的には最も適していること、その他にもスーパーマーケットトレードショーなどを紹介した。

いずれの課題も解決策はあるので、地域で生まれた優れた開発商品が陽の目を見ずに埋もれることがないよう花を咲かせてほしい。

 

*この記事は2015年2月1日の沖縄タイム(日曜版)『よろず支援拠点 カルテ@16沖縄』に掲載された記事からの転載です。

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