財務管理強化の支援事例

【相談:財務管理強化に取り組みたい】

財務管理を担当していた職員が定年退職するのに伴い、導入している会計ソフトに詳しい者がいなくなる。
商工会などから使い方の指導を受けているが、これを機に財務管理強化に取り組みたい

相談事業者基本情報

企 業 名   A社
業    種  食品加工販売
所 在 地   本島南部
資 本 金   600万円
創    業  2000年8月
従 業 員    7人

税理士の無料指導活用

【回答:専門的見地から総合的に指導するメニューを活用】

相談者は県産野菜の加工、販売を営んでおり、経営者である自らが製造と営業販売の実務を担っている。
日々の営業活動に追われ、経営の根幹である財務管理は担当者にほぼ任せきりになっていた。
県内の小規模事業者事業者に多くみられる事例である。
少ない人数で会社を切り盛りするため、製造や販売の現場業務にかかりきりになり
本来もっとも重要であるはずの財務管理が手薄になってしまうのである。
創業時から売り上げを順調に伸ばしてきたこともあり、社長は財務管理にあまり熱心に取り組んでいなかった。
しかしここ3年ほど、売り上げが思うように伸びず、昨年はこれまでにない落ち込みであったことから
財務管理の重要性に気づき、反省したという。
顧客に目線を向け、売り上げ拡大に努めるのは重要だが、売り上げの数字だけを見ていては健全な経営は成り立たない。
足元のコスト管理、利益管理が甘いために、実際には適正な利益を残せていない場合や、黒字倒産という言葉がある通り
一見利益を確保しているように見えても、キャッシュフローがうまくできていなかったために、資金繰りに行き詰まってしまうこともある。

企業支援事業「ミラサポ」から専門家派遣事業を活用

財務管理強化という課題解決のため、専門的見地から総合的に指導する必要があると判断した。
中小企業庁の企業支援事業「ミラサポ」のメニューの中から、専門家派遣事業を活用。
県よろず支援拠点のサポーターである税理士を派遣し、会社では無料で指導を受けることができた。
財務強化が会社の継続的な発展につながることを意識しながら、経営者の意欲的な勉強が始まった。

経営戦略の再構築

同社は、これまで伝統の味に支えられて順調に事業を拡大させてきたが、経理担当者の退職を機に、
社長が現状と過去の道のりを振り返り、将来を見据えた経営戦略を再構築し始めたことは意義深い。
攻めと守りをしっかり備えた組織へと生まれ変わり、今後もさらに成長を続けていくであろう。
その段階に応じて引き続き支援していきたい。

この記事は2014年11月30日の沖縄タイムス日曜版)『よろず支援拠点 カルテ@沖縄』に掲載された記事からの転載です。

 

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