家具製造事業の事業承継支援事例

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【相談:事業を引き継いでくれる人材を探してほしい】

木造家屋の大工の経験を生かし、1988年に汎用性の高い木工棚を考案・制作し、2000年に特許出願した。
作れば売れる製品だが、高齢で制作していく自信がない。技術と事業の継承相手を探したい。

相談事業者基本情報

企 業 名      木工職人Y氏
業    種      家具製造業
所 在 地       読谷村
資 本 金      個人事業主
創    業      50年以上
従 業 員        1人

【回答:近隣地域で情報収集】

木造家屋を長年建築してきたY氏は、家屋の調度品も自信で制作し、実用的で空間に調和する家具作りに抜群のセンスを持っている。
特に人気の高い中型の展示棚は、口コミで徐々に注文が増え、今では全国から政策依頼が寄せられるようになった。
木製の棚ながら洋風の家屋にも和室にも合うデザイン性が人気だ。
各種記念品から土産品、記念写真などを飾ったり、ワインセラーとして使うこともできる。
展示棚は県内の個人住宅からキリスト教会、米軍人向け宿舎、全国の企業の社内用として納品してきた。
全て手作りだが、すでに50台以上を販売してきた。
価格は木の材質によって15万~100万円。
10年以上の販売実績で、1件のクレームも返品もない。
これまで一人でこつこつ作ってきたが、年齢的にも70代を迎え、今後も高い技術を維持し続けることは無理だと考えるようになった。

地域で発掘 人材つなぐ

相談は政策手順や技術を含め、事業を引き継いでくれる人材を探してほしいとの内容で、売り上げの一部を特許料として支払ってもらえればよいという。
教えるとは言うものの、高度な技術を理解し、再現できるだけの力量を持った木工職人を探さねばならない。
技術以外にも、Y氏との理念の共有や連帯感、販売力を含めた経営能力も重要な要素である。
Y氏が高齢であることも鑑み、近隣地域に住む人が望ましいと判断し、情報収集を始めた。
地域の木工関係者に打診してみたところ、最適と思われる人材の情報を得ることができた。
日本の伝統的な木工技術「指物」の職人である。指物師としての経験も長く、隣村に工房を持っているとのことだった。
紹介してくれた木工関係の人たちも、その人柄や技術に太鼓判を押してくれた。
さっそく、双方の面談を設定。お互いの条件が一致す、今後一緒にやっていくことが決まった。
もしかしたら、消えてしまったかもしれない一つの特許技術が、埋もれることなく引き継がれたことを喜びたい。

*この記事は2014年12月21日の沖縄タイムス日曜版)『よろず支援拠点 カルテ@沖縄』に掲載された記事からの転載です。

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