CASE263 消費税へどう対応

【相談:消費税増税に伴う経営戦略】

 

相談事業者基本情報

●企 業 名 Y社
●業   種 飲食業
●所 在 地    那覇市
●資 本 金 非公表
●創   業 2015
●従 業 員 3人

【相談内容】2019年10月から消費税率の引き上げと軽減税率の導入が始まった。軽減税率の対象など会計・税務処理については理解しているが、消費税増税に伴い経営戦略における留意すべき点があればアドバイスがほしい。

【内容:価格表示の工夫が必要】

 

今回の改正消費税導入に伴い経営戦略における留意すべき事項はいくつかあるが「価格転嫁」「価格表示」「会計税務処理」の側面から検討してみた。

価格転嫁については、増税分を価格に反映させないと増税分を自ら負担した形となり、利益の減少を招き資金繰りの悪化など直接的に経営を苦しくしてしまう。しかし、飲食業において価格アップは売り上げ減少の恐れもあり、価格転嫁には工夫が必要である。例えば、一律に値上げするのではなく、メニューごとに材料費を考慮して個別に引き上げ額を決め全体として増税分をカバーするか、価格は改定せず改良を加えた新メニューとして価格を設定する方法もある。

 価格の表示方法にも留意点がある、小売・飲食業は税込み価格による総額表示が原則だが、2021年3月31日までは特例として税抜き価格による表示が認められている。しかし、税抜き表示にする場合、「税抜き価格」「税別」などと明示するか、店頭掲示やチラシなどですべての商品が税抜き表示であることを明示しなければならない。いずれも消費者がわかりやすく表示することが必要である。

 また、10%への引き上げを機に消費税の経理処理の方法、免税事業者から課税事業者への変更、簡易課税から本則課税への見直しなどについて検討されることを勧めた。たとえば、税込み経理は事務作業が「簡単」というメリットがあるが、正確な損益がつかみにくいというデメリットがある。税抜き経理は期中に損益を把握できるが、特別償却や税額控除の適用には不利になるケースがある。また、免税事業者であっても税率アップによって税込み売上高が1000万円を超えてしまうと課税事業者へ変更が必要になる。

 価格転嫁と消費者の反応、相克する対立事項を統合していくことも経営者の役割である。当拠点は今後も中小企業者の経営者に寄り添いあらゆる経営課題に対応していきたい。

(県よろず支援拠点コーディネーター・税理士・平良豊)

※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。
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ご相談は、電話098(851)8460のよろず支援拠点、またはお近くの商工会へお問い合わせください。

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