【相談:後継者が見つからず困っている】
相談事業者基本情報
●企 業 名 A社
●業 種 食品加工業
●所 在 地 本島南部
●資 本 金 非公表
●創 業 非公表
●従 業 員 15人
【相談内容】今年で72歳、体力的にも衰えを感じ、そろそろリタイアしたいと考えているが、身内や社内に後継者がおらず、他に思い当たる人もなく困っている。このままでは廃業も検討せざるをえず、何かいい方法はないか
【内容:候補を外部に広く求める】
全国的に中小企業者数は減少傾向、その大きな要因が後継者不在による廃業にある。沖縄県も例外ではなく、民間シンクタンクの調査によれば、経営者60歳以上の後継者不在率は72.2%(全国ワースト)と深刻な状況。
相談者は本土で10年間修行後、地元に戻り同社を設立。温厚且つまじめな性格で、県内外のスーパーや量販店に販路を持ち、経営は安定。一方、二人の息子は大学卒業後、本土で就職しており、会社を継ぐ意思はない模様。
親族内や役員、従業員など身近なところに後継者が見つからない場合、廃業するしかないのかと言えば、必ずしもそうではない。社外(第三者)に後継者を求める、いわゆる譲渡するという選択肢があり、M&Aという。近年は後継者問題の有力な解決策として、事業承継型M&Aが活発化している。
M&Aで期待できる主なメリットとして、①後継者候補を広く外部に求めることができる、②従業員の雇用や取引先との関係を継続できる、③譲り受け先との相乗効果で事業の更なる発展が期待できる、④譲渡代金によりリタイア後の生活資金を確保できる可能性がある等が挙げられる。
相談者にはこうした点をお伝えするととともに、M&Aを支援する公的支援機関、沖縄県事業引継ぎ支援センター(那覇商工会議所内)を紹介した。同センターは全国47都道府県に開設されており、M&Aにまつわる相談を中心に受け付けている。実際の相談対応にあたるのは中小企業のM&A仲介業務の実務経験を十分に積んだ専門家であり、真に公正中立な立場で豊富な経験に基づいたアドバイスを行っている
また、M&Aで事業を引き継ぐ際には準備が重要になるため、その対応策について助言した。いわゆる「磨き上げ」と呼ばれもので、売却前に会社の強みをのばすことや、内包する課題の解決を図ることで企業価値(譲渡価格)を高めることを言う。当よろず支援拠点としては、次回以降、「磨き上げ」の入り口部分である会社の現状分析(組織・事業・財務)をサポートすることを提案、相談者も納得されたご様子で、早速準備に取りかかりたいと笑顔で語っていた。
(県よろず支援拠点コーディネーター 大城 剛)
※掲載内容は相談者の承諾を得て紹介しています。経営者のあらゆる相談を無料で受け付けます。問い合わせや相談は同支援拠点、電話098(851)8460。